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襖の隙間の奥に隠された「私」 私の母方の実家は、いくつもの襖の部屋に仕切られた大きな伝統的な日本家屋でした。毎年、盆と正月には、多くの親族が集まり、私を含め16人の孫たちは、幾重にも連なる襖ばかりの部屋へと迷い込み、子供特有の興奮状態に陥りながら、小一時間あまり眩暈がするような時間を過ごしました。これが私の原風景です。 襖は、建具の一種ですがドアとは違い可変性が高く、閉じ方次第で空間の質が変化します。時には、取り外す事によって大きな空間も生み出す日本独特の住居空間です。私は、襖が繋ぐ部屋と部屋との隙間に思惟的な時間を感じます。奥の見えない隙間の空間に未知なる自分の姿が眠っているような気がして仕方がなく、幼少期の体験からかそんな隙間に強く惹かれます。確信を持てなくても隙間の中に僅かにまだ見ぬ自分自身が発見出来るような予感がするのです。 幾重にも重なる襖のグラデーションの間には、どこまで開いても辿り着く事のないようなシュールでトートロジカル(同義語反復)な時間軸が横たわります。それは、いつになっても沈まぬ夕暮れを眺めているような子供の頃の感覚を呼び起こします。私の創る作品の襖を開けると見覚えのある昔の戦利品の貝殻や石ころ、手紙などが隙間に転がっており、観る人がそれらをデジャブのように感じてくれればと思います。襖の奥には、未来の未解の自分だけでなく抽象的な過去の時間も眠っているのです。 猪鼻秀一
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1970 | 埼玉県川越市生まれ |
1991 | 法政大学 中退 |
1993 | 京都芸術短期大学映像 卒業 |
1996 | 京都芸術短期大学専攻科 修了 |
京都造形芸術大学において学士資格を修得 |
1995 | Art Space NIJI、京都 |
1997 | ギャラリーSUZUKI、京都 |
2000 | ギャラリーSUZUKI、京都 |
2001 | O ギャラリー、東京 |
2001 | exbite space LIVE、東京 |
2004 | 国際交流基金バンコク及びフランスセンターバンコク、タイ |
2007 | コンクリートハウス、タイ |
2011 | アートコミュニティー美浜、千葉 |
2012 | ギャラリー Q、東京 |
2017 | ギャラリー Q、東京 |
1994 | 第三回SONY ART ARTIST AUDITION |
1996 | 日本映画協会映画祭学生部門最終審査 |
1998 | 現代日本美術展 |
2001 | 「第5回 岡本太郎記念現代芸術大賞展」川崎市岡本太郎美術館、神奈川 |
1994 | 第三回SONY ART ARTIST AUDITION入選 |
1996 | 日本映画協会映画祭学生部門最終審査 |
1998 | 現代日本美術展彫刻部門入選 |
2001 | 岡本太郎記念現代芸術大賞入選 |
2017 | 第一回DIYマンションアイデアコンテスト 入選 |
2002 | POLA美術振興財団在外芸術家研修イタリア派遣 |
2004 | 国際交流基金及びフランスセンターバンコク共同招聘芸術作家企画助成 |
2007 | 朝日新聞文化財団海外展覧会助成 |
2004 | フランスセンター、バンコク |
2010 | アートコミュニティー美浜、千葉 |